香りの話香りの起源はエジプト?それともフィレンツェ?

香りの歴史とMedicine(薬)の由来

香りの歴史について深く考えたことはありませんでしたが、前回フィレンツェを訪れた時に現地の人から聞いた話によれば、香りの原料として用いられるハーブはもともと薬として使用されていたとのことでした。
メディチ家がそれを商業化したのち、フランスに伝わり、ヨーロッパへ広がっていったようです。英語の「Medicine(薬)」が「Medici(メディチ家)」に由来するという説もあり、これは確かに信憑性があるように感じました。

フィレンツェのサンタマリアノヴェッラ教会、隣に薬局がある。(イメージ)

香りの起源は紀元前3000年前に遡る

しかしながら、より詳しく文献を調べてみると、香りの起源としてもっとも有力な説は、紀元前3000年頃のメソポタミア地域(現在のイラク、シリア北東、トルコ南東の地域一帯)で、当時のシュメール人が神に捧げる薫香としてレバノンスギ(Cedar of Lebanon)またはヒマラヤスギを用いていたというものです。

エジプト時代には、「Myrrh(マー)」という、熱帯産地原産の低木樹脂を香油や軟膏として使用していたことが分かっています。これもまた薬としての役割が強かったようです。

王妃の水と呼ばれるアクア•デッラ•レジーナ(イメージ)

薬としての香りが趣向品になった

その後、ギリシャ時代には貴族の嗜好品として、そしてローマ時代には大衆化したようですが、それでもまだまだ薬としての利用が主流であったようです。

紀元16世紀頃には、メディチ家のカテリーナ・ディ・メディチがフランスのアンリ2世に嫁いだ際に調合された「アクア・デッラ・レジーナ」が広まり、ヨーロッパ中に広まっていったようです。

紀元前のエジプト時代に発見された没薬のマー(Myrrh)の香料(イメージ)

つまり、香りの起源には、「薬としての香り」と「ファッションとしての香り」という二つの異なる側面があると言えます。

香りの歴史を知ると、現代においても香りが持つ様々な効果について理解が深まります。
リラックス効果や集中力向上効果、ストレス緩和効果など、香りには心身に良い影響を与え、くつろぎの空間体験をもたらすでしょう。

参考:「香料と調香の基礎知識」「サンタ・マリア・ノベッラの歴史」「トルコ基本情報」